【プレイ解説】T・J・ウォーレン「シュートチェックされてる中でのフィニッシュ」

NBAシーズン再開!

その初日の試合で53点のキャリアハイを記録したTJ Warren(T・J・ウォーレン現インディアナペイサーズ)のハイライトからシュートクリエイトスキルを解説!

DFがシュートチェックに来ている中でも決めきる為のテクニックが満載でした。

【スキルポイントまとめ】

①2モーションは打点と構えるまでを速く!チェックが来ても打ち切れる。

②コンタクトを先に仕掛けれると、相手が届かない所から打てる可能性が増す!

③ぶつかっても自分の打ち方で打てる様に!普段から強度を意識して打ち込む。


TJは203cmのスモールフォワードでドライブが武器のスラッシャー。

ここ3シーズンで平均18得点以上、昨シーズンから3Pの試投数を増やしながら5割近いシュート率を誇るスコアラーです。

地味に凄いのがNBAのスコアラーの中でTOがずば抜けて少なく、3シーズンとも平均1.3以下、ここ3シーズン平均18得点以上の選手の中で最小です。

これはTOになるリスクの高いドリブルやパスが少ないシュータータイプのスコアラー(クレイトンプソン、JJレディック等)よりも低く、それでいてドライブからもでこれだけ得点しているのはタフショットが少なく、シュートを打ち切り決める能力が高いと言う事が考えられます。


0:00まずはTJのシュートフォームから見ていきます。

クイックな2モーション。

最近はクイックと言えば1モーション、下から打つショットを取り入れている選手も増えましたが、やはり目の前にDFがいるとボールの位置がDFに近いのでチェックされやすいです。

まだ1モーションで打つのはC&Sが主流の時代に1on1からドリブルスキルで相手を崩し、チェックが間に合わないスピードで打つカリーの登場がそれだけ凄かったわけですが…

TJはベーシックな2モーションですが打点が高く、顔の前ではなく頭の上に引きつけしっかり胸が起きているのでDFと前後のスペースを稼げています。

それでいて腰が反っておらず綺麗に力が伝わっているので安定しています。

またボールを自分のシュートを打つ場所まで引き揚げて持っていくスピードが速いのが2モーションだけどクイックに打てる一因です。

フェイドアウェイでなくても同じサイズ感ならスペースを生み出す事ができるので、ドリブプルアップやC&Sだけではなくボールを保持しての1on1からシュートを狙うウィングやフェイスアップするインサイドはお手本になるシュートフォームです。


地味にスクリナーもシュートチェックに行きにくくする為にこっそり押してますね笑



2本目は1on1からのターンシュート。

ドライブからコンタクトして押し込み

DFを押し込んだ所でヘルプがいるのでストップ→ターンシュートを選択。

味方が逆サイドのウィング(画面手前)の前にポジショニングしているのがスクリーンになりここまで進入する事が容易になっていますね、影のナイスアシストです。

ターンやフェイダウェイをする時にボールを頭の上まで持っていくと結構腰をそらしやすく、それが普段と違うループや飛距離が足りない原因になりやすいのですがしっかり鍛えられています、体の軸が真っ直ぐのまま後ろに飛んでいる綺麗なフェイダウェイ!

膝から下が曲がっているのも重心を安定させるのに一役買っていますが、これは意識的というより無意識にそうなるような運び方を心がけた方が良いです。

DFのShake Miltonの腕の長さは身長196cmに対して212cmとTJより長い(207cm)ですが、コンタクトと高い打点を生み出すフィジカルの使い方でスペースをクリエイトしました。



3本目はボール運びからそのままドライブしフローター。

ボールを運びながらスペースを確認し

ギャザー(ボールを保持する動作、この瞬間地面についている片足が所謂0ステップになります)した時にDFから遠い位置に抱えコンタクトの準備。

長い歩幅でステップ=その分相手を押す時間が長くなる。

相手は仰け反りシュートスペースが生まれますがヘルプDFが

ここでギャザーからステップしたのが活きる、もう1歩踏み込みシュートを打つ体勢を整える。

一瞬サスペンションの様に体を沈み込ませているのでブレーキにもジャンプ力への変換にもなっています。

シュートチョイスはフローターを選択。

この時足を引き揚げ前方に持っていくのが自分は好きです!

ダーク・ノヴィツキーのノビダウェイではないですが、相手が蹴られたくないのと単純に邪魔で前に跳びにくくなります。

ドライブからでもシュートの時は体がまっすぐ起き上がり、またリリースするボールの位置はジャンプシュートとほぼ同じ打点まで上がっています。

鍛えれらたフィジカルとシュートフォームが染み付くまで膨大な量を打ち込んでいる事がこれだけでも伝わります。

またフローターの撃ち方ですが自分は手首のスナップを使わず「ボードとハイタッチする」イメージで教えています、これはアメリカに勉強に行ったときに向こうのコーチから教わり肌感覚に合っていたので練習しました。

スナップを使うと回転をかけて色々撃ち方を工夫できるのですが、ループが短く力を使いがちです。

またボードと言っているのはリングにハイタッチだと腕がまっすぐ前に伸びてしまいそうだったのでその上のボードに、と強調しています(アメリカのコーチがボードに、と言っていたかは不明汗)

TJのフィニッシュも腕が上に伸び、ブロックが届かない位置からリリース出来ていますね。




この日3Pが9/12と大当たりしたのが53得点につながっていますが、この様なアタックを1Qからガンガン仕掛けています。

TJはNBAのウィングの中では平均的なサイズ、日本の高校生で180前後、上のカテゴリーで190前後の周りの選手よりかは大きいけどサイズだけで支配出来る訳ではないサイズ感に置き換えれます。

しかし学生時代からスコアラーとして鳴らし、またその分DFからのプレッシャーも強くなるのでこうしたシュートを決めきるスキルを高めてきたのだと思います。

またオフシーズンに42,000本のシュートを打ち込み、それが昨シーズンからの3Pの確率upに繋がるなどハードワークをし続けている選手です。


今の日本の選手はNBAを見る環境が充実し、ワークアウトをより身近に受けれるようになり上のカテゴリーを見据えたスキルを実践する選手も増えました。

今の30~40代の選手からしたらフローターが当たり前になっているのが驚きだそうです(打つと怒られていたとか)

自分からしてもここまでP&Rが当たり前になりドリブルからクリエイトしてフリーで打てたり、1モーションのC&Sで3Pが楽に狙える様になるとはバスケを始めたの頃からは考えられませんでした。

しかしそうしたサイズ差がある相手でもスペースを作りシュートを打てる方法が広まり練習して行って結果、同じサイズや自分より低い相手に近づかれてもシュートを打つ事がタフショットだとして避けすぎているのでは?と感じる事があります。


レベルがそこそこのカテゴリーであればまず自分が攻めるという気持ちは誰もが持つべきですし、レベルが上がればDFも組織的になり自分と同じサイズ感のDFと1on1をしていてヘルプがいないと言う場面は少なくなるので同じく攻めるべきです。

そうしたとき最初からステップバックやフローターを狙うのもいいけど、より確率の高いショット、ゴールにアタックし相手の上から決めると言うプレーを狙う強い気持ちとトレーニングは忘れずに狙って欲しいと思います。

学生時代178cmで50~60kgのガリガリだった自分も、今ではダンクできたり自分よりマッチョなDF相手にガンガンぶつかってレイアップを決めています。

体を鍛え相手に押し勝てるフィジカルを養い、身体操作を高め合理的な動きを身につけ、スキルを磨きシュートを決めきる!

そしてなによりアタックする強い気持ちを忘れずにプレーできる様に練習していきたいですね。

それを根性論ではなくどうすれば出来る?を提供出来るスキルトレーニングをこれからもしていきます。


最後にもう一度 【スキルポイントまとめ】

①2モーションは打点と構えるまでを速く!チェックが来ても打ち切れる。

②コンタクトを先に仕掛けれると、相手が届かない所から打てる可能性が増す!

③ぶつかっても自分の打ち方で打てる様に!普段から強度を意識して打ち込む。